インクジェットプリンターでデカール印刷

　　

　　今まで自作デカールはALPSの熱転写プリンターMD-5000Pで刷っていましたが、ALPSの熱転写プリンター
は製造中止となりインクリボンも近所の店では入手難になりました。数年前にワールドPCエキスポでALPS
の担当者に聞いた話では、熱転写プリンター最後のモデルMD-5500は既に生産中止され在庫のみだと言う事
でした。熱転写プリンターを酷使したのでしょうか、最近は印刷にズレが生ずる等のトラブルが出る様に
になりました。

　熱転写プリンターはデカール用紙に印刷出来るだけで無く、インクジェットの様な滲みも無く用紙を選ばず高品質
の印刷が出来ますが、用紙が一度通過するだけで印刷されるインクジェット・プリンターとは違い、熱転写プリンター
はカラーデカール印刷の場合、下地の白、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクカセット５色を機械的に
入れ替え用紙は５回も往復する工程が有るので印刷に時間が掛ります。給紙排紙に精度が要求されるので機構的に
無理が有ります。私のMD-5000Pは印刷時にズレが生じる症状が出る様になりましたが何とか使っています。インク
ジェット・プリンターなら壊れても、替りの製品は有りますが、熱転写プリンターの代わりは無いのでMD-5500が入手
可能な内に押さえるべきかも知れません。

インクジェットプリンターで自作デカールを刷るレポートが掲載されているwebサイトを見付けました。

http://www7a.biglobe.ne.jp/~nanai/decal2.htm

　インクジェットプリンター用のデカール用紙を購入したので、私も自作デカール印刷を試して見ました。
試作品の素材は、知人から頼まれた朝鮮戦争当時の偵察飛行隊"45th Tactical Reconnaissance Squadron"所属の
ロッキードF-80用のデカールです。

http://www.cottonpickers.org/45th_tac_recon_squadron.htm

インクジェットプリンター用のデカール用紙は輸入品のスーパーカル http://www.supercaldecals.com/ と
ケイトレーディング http://www.k-trading.net/ のクリアデカールです。スーパーカルは用紙に刷った上に
クリアースプレーを吹き付けます。ケイトレーディングは印刷前に武藤工業 http://www.mutoh.co.jp/ 製の
ベーススプレーを吹き付けます。熱転写プリンターはALPSのMD-5000P、インクジェットプリンターは染料系
インクのEPSONのPM-890Cです。熱転写プリンターで刷ったデカールとインクジェットプリンターで刷った
デカールの両方を同一条件で比較する為、刷ったデカールをスキャナーで取り込みました。

　

　最初の図版の左側はWAVE製のクリアデカールにALPS熱転写プリンターで刷ったデカールです。基本の原色16色
部分は綺麗に刷れますが、中間色はモアレ(斜線状のドット)が目立ちます。

　下側はWAVE製のクリアデカールにケイトレーディングのインクジェット・プリンタ用ベーススプレーを吹いた
上にEPSONのインクジェットプリンタで刷ったデカールです。黒インクもカラーインクも擦れています。

　次の図版の左側はケイトレーディング製のクリアデカール上にインクジェットプリンタ用ベーススプレーを吹き
EPSONのプリンターで刷ったデカールです。拡大すると黒インクもカラーインクも滲みが有りますが遠目では殆ど
目立ちません。柔らかく曲面に良く馴染み、適度な厚みも有り貼り易いデカールです。刷った上からクリアーを
吹き付けると、水でインクが溶ける事も無く実用上は問題有りません。

　右側はスーパーカルのクリアデカールにEPSONのプリンターで刷り上にスーパーカル純正のクリアーコートを
吹いたデカールです。黒インクの滲みはケイトレーディング製のクリアデカールと大差有りませんが、カラー
インクはスーパーカルが、くっきり刷れています。インクジェットプリンターならカラー印刷の中間色にモアレ
が出ませんが、熱転写プリンターと違い白インクが使えません。インクジェット・プリンターでラウンデル等を
刷りたい場合、熱転写プリンターで下地用の白インクのデカールを刷り、白デカールを貼付した上にカラー
デカールを重ね貼りする事になります。